* 獄の中、かなめは目をつむる。 「 、」 一角が囁いた言葉。 今はもう、思い出せぬ事等無かった。 人 の女は小さく姿を猫とし、黒影を一本柵に滑らせ脱獄、 急ぐ。 《か なめ》 《ありがとう》 《お 前はそればかり》 《感謝しているんだ》 《思 い出したの》 《遅いな》 《遅 すぎた。もっと早くに気付いていれば》 《どう変わっていた、人の世 は》 《変わらない》 《愚 かな人は、変わらない》 《僕もあなたも変わらないだろうね》 《兄 妹だもの》 《違う、馬と猫がきょうだいなはずないだろう。何を思い出 したんだい、あなたは》 《全てを》 《僕 を好きだという事も?》 《そう》 《きょ うだいでも無い事も?》 《そう》 《も ともと人だったという事も?》 《知っている》 ぜ んぶ、知っている * 異 国の月へと連れて行つてあげよふか この羽であなたを包んで 安全のために角を持って 白い僕と黒の貴 女 未来永劫、何処へなりともお供しませう ------------------------------------------------------ あ とがき 前作から随分と間が空いてしまいたしたが、短編2作目でございます。 前作よりさらに 不明度が増している様に思います。その時のフィーリングで流す気でしょうか私は; 猫と一角獣(つまりユニコーンですね)の話でした。 解りにくいですがファンタジーの様な設定が入っています; 日本と異国、黒と白、人間と動物。これをテーマにして書きました。雨の雰囲 気が少しでも伝われば、と思います。 最後に、読んで頂けまして誠に嬉しいです。 ありがとうございました。 犬井 |