獄の中、かなめは目をつむる。



「    、」


一角が囁いた言葉。
今はもう、思い出せぬ事等無かった。


人 の女は小さく姿を猫とし、黒影を一本柵に滑らせ脱獄、
急ぐ。

















《か なめ》



《ありがとう》



《お 前はそればかり》



《感謝しているんだ》



《思 い出したの》



《遅いな》



《遅 すぎた。もっと早くに気付いていれば》



《どう変わっていた、人の世 は》



《変わらない》



《愚 かな人は、変わらない》



《僕もあなたも変わらないだろうね》



《兄 妹だもの》



《違う、馬と猫がきょうだいなはずないだろう。何を思い出 したんだい、あなたは》



《全てを》



《僕 を好きだという事も?》



《そう》



《きょ うだいでも無い事も?》



《そう》



《も ともと人だったという事も?》



《知っている》





ぜ んぶ、知っている




















異 国の月へと連れて行つてあげよふか
この羽であなたを包んで
安全のために角を持って
白い僕と黒の貴 女
未来永劫、何処へなりともお供しませう












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あ とがき

前作から随分と間が空いてしまいたしたが、短編2作目でございます。
前作よりさらに 不明度が増している様に思います。その時のフィーリングで流す気でしょうか私は;
猫と一角獣(つまりユニコーンですね)の話でした。 解りにくいですがファンタジーの様な設定が入っています;
日本と異国、黒と白、人間と動物。これをテーマにして書きました。雨の雰囲 気が少しでも伝われば、と思います。

最後に、読んで頂けまして誠に嬉しいです。
ありがとうございました。



                  犬井